書評:ロック・フェスティバル/西田浩
読売新聞文化部の記者であり、一人の洋楽ファンである著者によるロック・フェスティバル論です。
ある意味伝説となっている第一回のフジロックやサマーソニック等のフェスにほとんど来場している
フェスの生き字引のような立場で、フジロック以前の過去の歴史から昨年のウドーフェスについて
述べております。
特にフジ・ロックやサマーソニックにおける1962年生まれの著者による懐かしのバンド評などは、
思わず自分も聴いてみようかと思わされるくらい、思い入れたっぷりに書かれております。
一方、残念なのは、著者である西田さんのスタンスが、「参加者」ではなく「来場者」に近いと
感じられること。新聞記者としての客観性がそうさせているのでしょうが、テント生活をし、雰囲気を
味わい参加している立場の人間としては「それは違う」と残念に思う点もあります。
例えば、フジロックにおいてプロデューサーの日高さんが掲げている理想を一応肯定しつつも、
P96からP98で筆者は
もし、自分が、ロック・フェスのためにお金と時間を苦労して捻出しなければならない一般の音楽
ファンだったら無条件にフジ・ロックへと足を運ぶだろうか?このフェスの素晴らしさは十分に承知
しているつもりだが、答えはおそらく「ノー」であろう。
と述べています。
私自身は、洋楽にさほど興味がないこともあるので、フジ・ロックではなくライジングサンに
いっているわけですが、この質問に関しては「いや、いくよ。」と自信をもっていうことができます。
なぜなら、「来場」しライブを聴くことよりも、フェスに「参加」することが楽しいからです。
目当てのアーティストを見る意外に、フェスの楽しみ方はいっぱいあります。それこそ、初めの
計画通りに二日間とかを過ごすことなんてないです。
むしろ、意外なアーティストを発見したり、料理を楽しんだり、寒さに凍えたり、アトラクション?を
楽しんだりそういったことを含めたフェスの雰囲気を味わっていることが幸せだったりします。
このあたりは、「音楽」と「フェス」についてのスタンスの考え方が違うのだろうなと感じさせられる
部分ではあります。
とはいえ、ロックフェスの歴史をつぶさに見ている筆者だからこそ書ける克明な観戦記は
読んでいて楽しく、早くフェスの季節が来ないかと思わされます。
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