書評:沢田マンション超一級資料―世界最強のセルフビルド建築探訪/加賀谷哲朗
地下1F、地上5階建て、横幅が70mある賃貸マンションがある夫妻によって建築され、普通に
住民が住んでいる。また、そのマンションは5階までスロープを使って車で移動できるように
なっている。
実際に高知県高知市にある沢田マンションのことですが、概要を聞いただけで気になってしまい、
ライブドアの「本が好き!」から献本いただき、読んでしまいました。
本としては、大きく「建築者にまつわるエピソード」「建築物としての特徴」「住民・コミュニティ」の
三部構成に分かれています。
超個性的な建築物の写真を見るだけでも十二分に面白いです。車も通れるスロープが建物の中を
貫通しているとか、4Fの屋上には釣堀としても楽しめる池があるとか、個人が作ったという
事実以上に「えっ!」と思うことは多々あります。
(どうやったら、細かい図面も専門的なバックグラウンドもなくこんなものが建設できるの?と
思ってしまいます。)
ただ、個人的には、建物の存在もそうですが、住民の方々が織り成すコミュニティが気になりました。面白いです。
最近では、秋祭りとして、クリエイター気質を持った若者による「沢マンEXPO」というものを
開催している住民の人たちですが、いい意味でいまどきのリアルではないコミュニティがそこには
あります。
(本書の140ページの中では、そのコミュニティは「SNS的なゆるさ」と表現されております。)
江戸時代に存在していただろう長屋の濃厚な人間関係でも、都会の単身者が住むアパートでも
ない人間関係があり、個人個人としての存在を尊重しつつ、集団でいることを楽しむ関係が
沢田マンションの住民の間にはあります。
もちろん、有名マンションに興味を持ち集う個人の集合と、単純に住む場として同じマンションに
住んでいる個人の集合を単純に比較してはいけませんが、隣の人がなにをやっているか知らない
ようなワンルームの物件に住んでいる身としては、少しだけそういったコミュニティがうらやましく
なります。
そういった意味で、本書は沢田マンションという「建築物」としての資料といった意味だけでは
ないのかもしれないと感じさせられる一冊です。
ちなみに、Wikipediaの項目を見るだけでも、沢田マンションは面白かったりします。まず、Wikiを
みてから、興味を持ったら本を読むといいかもしれません。
(参考)Wikipedia:沢田マンション
↑
ここを見るだけでも突っ込みどころ満載で面白いです。
- 加賀谷 哲朗
- 築地書館
- 1890円
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