書評:帝王/倉科遼
ビックコミックスピリッツで連載されている『帝王』の原作本です。キャバクラのKIZAKIグループの
オーナーである輝咲翔さんの自伝的小説で、著者は『夜王』や『嬢王』と同じ倉科遼です。ある意味
ネオン街の王道のような組み合わせ。
基本的なストーリーは現在、スピリッツで連載されている内容と同じです。野球少年だった翔青年は
高校卒業後、工場に就職、トラック運転手に転職した後に、「人と触れ合う仕事をしたい」という考えで
ホストとなり、夜の世界に踏み入れます。
その後は、ホストクラブの常連だったお客さんのバーを手伝った後、バーの隣でホストクラブを
始めます。そのホストクラブがオーナーの借金によりつぶれた後は、自らオーナーとなり、
紆余曲折しながら、店を多店舗展開させ、ついには中国の大連に出店を果たします。
話の中で、興味が惹かれたのは2点。少し意外なことにビジネス的な部分でした。
1つ目は「KIZAKIのABC」といわれるモットーです。「当たり前のことを、バカにせず、ちゃんとする」の
頭文字をとって、ABCなのですが、シンプルで誰にでも当てはまるいいスローガンです。
そしてもう一つは、出店戦略です。KIZAKIグループは竹ノ塚からはじまり、大まかに以下の
ステップで店を広げていました。
(1)竹ノ塚で初め、同地で2号店を出しつつ南越谷、東金に出店。
(2)成田、市原、茂原といった、10キロ-15キロに集中的に出店。
(3)六本木に本店を、本店が撤退後は、本社機能を備える。
そして、それぞれの戦略としては、
(1)繁華街が存在し、需要はある反面、エリアのサービスの質はそれほどよくない所に出店する
(2)客のバッティングは存在しない一方、経営資源は共有化できる距離に出店する
(3)店舗増加後は増えた後はシンボルとなる六本木に店を備えることにより、ステータスを確立する
といったものがあるのですが、計画的に練られている部分とそうでない部分があったのかも
しれませんが、なるほど思わされました。市場のターゲッティングや、ブランド戦略など理に適った
戦略を実行しているあたり、勉強させられました。
単純にスピリッツの話の先が気になって読んだ本ですが、思った以上に勉強になる本でした。
ちなみに、こちらの本は、ライブドアの「本が好き!」プロジェクトより献本を受けたものです。
最近のIT関連の書籍のヒット手法として「アルファブロガーに献本」というものがありますが、
それとは別に、こういった形で通常のブロガーでも手軽に本がいただき、書評を書くことで、
結果的に本が広がり、読む人間が増えるかもしれないというのは、なかなかいいサービスで、
オススメです。ぜひ、興味のある方はご活用下さい。
- 倉科遼
- ソフトバンククリエイティブ
- 1365円
livedoor BOOKS
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