書評:重力ピエロ/伊坂幸太郎

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 直木賞作家にもなった伊坂幸太郎の代表作です。

 遺伝子検査などを行う会社に勤める「泉水」と、グラフィティアートを消す仕事を営む「春」。英語に
直すとどちらも「スプリング」と読むことのできる兄弟。この兄弟と家族には一つの悲しい過去があり、
その過去は家族そのものともいえます。

 小説は印象的な一文で始まります。

 春が二回から落ちてきた。

 どういうことかと考えされられつつも、僕らはそれが主人公の弟の名前であることと、兄弟の
血のつながりが半分しかない、それも悲しい事件によって春が生まれたことをしります。

 そして、舞台は現在に。泉水が勤務する会社でビルの壁が焼ける放火事件があった
翌日に転換します。そこに火事を予言していた弟からの電話が入り、物語は始まっていきます。

 二人は癌で入院している父親に見舞いに行きます。そして、その中で、放火事件が話題に
上がり、泉水が興味とともに調べ始めることとなります。

 グラフィティアートと放火の関係性、そして家族の持つ過去が『遺伝子』がキーとなり進展して
いき、やがて、放火事件と家族の過去は一致を迎えるとともに、物語はクライマックスを迎えて
いきます。

 文庫本で470ページ以上という長編ではありますが、一気に読めてしまう内容ではあります。
ただ、少し残念なのは、以前読んだ「アヒルと鴨のコインロッカー」に比べてストーリーに意外性が
ないこと。途中から、ひょっとしたらドンデン返しがあるのではないかと思いながら読んでいたの
ですが、残念ながらそういったストーリーはなく、ある程度予想通りな結末を迎えました。

 それでも、主人公の二人や、その脇を固める両親や春の元ストーカーである「夏子」、探偵を
副業とする黒澤など、脇役も魅力的に描かれております。

 時期は未定ですが、こちらも映像化が決まっているようです。映画よりは2時間位のテレビドラマの
方が向いてそうな作品ではありますが、評判次第で見に行ってみたいと思います。

 

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