書評:死神の精度/伊坂幸太郎
一週間後に不慮の事故等で死を迎える対象者についての死を見定める死神が主人公の短編集。主人公の千葉は、クールで事務的で間の抜けた受け答えをするだけども、少し暖かく、そしてミュージックが大好きという変わった死神です。
事務処理のように淡々と対象者の死を承認するだけの死神だけども、人間界でミュージックを堪能するために時間をかけ対象者を観察します。苦情処理係の電話オペレーター、男気あふれるヤクザ、過去の誘拐犯を探し出そうとするチンピラ、様々な対象者がおり、そこには人それぞれの人生があります。その中で、千葉は基本的に事務的な対応をするのですが、状況に応じ、死神のいたずらともいうべき行動をとったり、思考を働かせたりします。
結果、各物語は当初想定される内容とは異なる結果を迎えることとなりますが、それぞれ印象深い終わりを迎えます。
文章全体は千葉の視点で淡々と描かれているのですが、不思議といい気持ちになるのが伊坂幸太郎マジック。
特に、最後の一篇である「死神対老女」が秀逸。本編では、各短編の登場人物がゆるやかにつながっていたことがわかるのですが、そのことが判明する最後の10ページを読むととても暖かい気持ちにさせられます。
読み応えのある長編作品もいいのですが、短編小説もやはりすばらしいです。
ちなみに先月より映画化もされておりますが、超映画批評を見ると評価が必ずしも高くないのに加え、伊坂作品はやはり活字がイチバンということで今回は見送りでしょうか・・・?
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