書評:闇権力の執行人/鈴木宗男
大学のゼミ(といっても、研究室といったものではなく、半年間少人数制で行う講義)で習って以降心がけていることに「興味を持った出来事について違う立場から書かれた複数の本を読み比べる」というものがあります。
例えば、連合赤軍の書籍に関して言えば、
- 連合赤軍「あさま山荘」事件・・・警察サイド/佐々淳行著
- あさま山荘1972・・・連合赤軍サイド/坂口 弘著
- 浅間山荘事件の新事実・・・マスコミ再度/久能靖著
を比較してみると、それぞれの当事者がそれぞれの立場でどのように行動していたのかがわかります。(他の赤軍メンバーのノートや、長野県警側の著書をさらに読み比べてみることも可能です)
そういった中、最近、佐藤優さんの本を多く読んでいるので、同様に、鈴木宗男関連事件の主役の立場から書かれた本書を読んでみようと思ったわけです。(ただし、解説は佐藤優さん)
内容としては、大きく分けて3つに分けられます。
- 外務省、政治家、検察などの闇の部分についての(具体名を交えた)指摘
- 総合的な「国益」のために闇を黙認、活用していたことに対する反省
- 今後の政治家としての鈴木宗男のあり方
読んでの感想は、政治家と官僚では見えている世界に違いはあれど、鈴木宗男-佐藤優ラインで考えていることは「国益」という点で一致していたであろうということ。国益を求めるという「軸」がぶれていないのは、読んでいて心地いいです。(もちろん、本書の1つの意図として広く自分の主張を聞いてもらい、過去の悪評を打ち払いたいという「政治家的意図」があるだろうことは否定しませんが)
そして、もう一点思ったのは、検察官の立場からの著書が読みたいということ。本書では、「国家の罠」と同様、取調べを行う検察官(別人物を思われる)が、本件について「国策捜査」「逮捕した件では通常ならば立件できない」ということを素直に認めていること。佐藤さんの著書の影響を受けたのかもしれないけれども、この点に関しては将来的に検察官の立場からどうだったのかが明らかになると(無理だと思いますが)非常に興味深いものになると感じられました。
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